高齢者の片付けられない、ゴミ屋敷問題に対処する(n=1)
原因として高齢により身体的に片付けをするのがきつい、認知機能の低下、もともと片付けの習慣がない、物への執着、溜め込み障害(Hoarding Disorder)などが考えられます。これらは行政、介護福祉、医療による対処が必要です。
個人で対処できることとしては外的な環境の調整があります。個人的に割と上手く行った方法を共有しようと思います。もちろんn=1の結果なので一般化できるかはわかりませんがもしかしたら再現性があるかもしれません。
介入の対象者:祖父、85歳。もともと片付けをする習慣がなかった。祖母の死後、ゴミ屋敷化。腐った食事、ゴキブリ、コバエに服、紙、新聞などが混在。片付けをしようとすると「まだ食べられる」「物を捨てるな」「何処に何があるかわからなくなる」と抵抗するなど。本人は一人暮らしを強く希望。
失敗した介入 : 何度かゴミと思われ物を全て捨て、服や紙、新聞を整理整頓しましたが本人にとって使いやすいレイアウトでないこと、生活の動線に物がないことから、結局元の汚い部屋に戻りました。
割と成功した介入:細かく収納する片付けは不可能なので(身体的にも、過去からの習慣的にも)、本人の生活の動線上に大雑把に物を置いてもらうことにしました。ボックスやタイルを敷いて「大雑把にこのスペースには服、食べ物、紙類を投げ入れておいてくれればいいよ」という感じにしました。
この辺に食べ物はおいてください。
この辺に服はおいてください。
とこんな感じで大雑把なスペースを決めました。
2,3週間に1度は整理をし直すことが必要でしたが、それぞれのスペースに物を置き直すだけなので介入する側の心労も減りました。この介入方法で90歳まで5年間きれいとは言えないまでもQOLは保たれた生活の手助けができました。
内因に目が行きがちですが外的環境を少し変えることで本人の行動を変化させることができることもあるという例でした。環境を作りかえること、動きの中を意識したインタラクションデザインを作ること*1、を考えて対処するとよりQOLを上げることができるのではと考えます。
*1 消極性デザイン宣言より
消極性デザイン宣言-消極的な人よ、声を上げよ。……いや、上げなくてよい。
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